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◆ 経営の変化を数字で実感
一年間にその会社がれだけもうけたかを表すの損益計算書です。貸借照表は、決算日の会社の財や借金がどれだけあるか表します。
左図を見てください。右側が「どうやってお金を集めたか」を示し、「負債」と「資本」に分かれます。
負債は借入金や社債などいずれ返済す必要があるお金です。一方資本は株主からの出資金やたまった利益など返済不要のお金で「株主資本」とも呼ばれます。
そして「集めたお金がどのように姿を変えたか」を示すのが左側の「資産」です。右側の負債と資本の合計と、左側の資産は一致します。
会計士は「各項目の金額に比例させて図形を描くと、経営の変化が一目でわかる」と言います。
キヤノンでは、5年前の2000年と比べて5年は全体の大きさ(総資産)が約1.4倍になっています。
特に利益剰余金が増え、株主の持ち分である株主資本を増やす経営をしてくれていることがわかります。
逆に経営悪化で損失が出て穴埋めのために現預金などを取り崩したりすると資産が減り、貸借対照表全体が縮みます。
損失が過去に貯めた剰余金などを上回ると、資本の部で欠損金(剰余金のマイナス)となります。
◆ 見分けられる危ない会社
安全性を見るには様々な指標があります。例えば株主資本を総資産で割って求める「株主資本比率」。会社は返済の必要がない株主資本の比率が高い方が安全とされます。
「30%を切っている会社は投資対象からはずす」という投資家もいます。
「流動比率」も有名です。一年以内に現金化できる「流動資産(現預金や棚卸し資産など)」が、一年以内の短期に返済しなければならない「流動負債」に対してどれだけあるかを示します。
短期の借金をすべて返せと言われた場合、すぐに処分できる資産が多いほど余裕があるという考え方です。100%を下回ると危険だと言われます。
逆に土地や工場の機械など、長期間にわたって使うものを「固定資産」といい、すぐに現金化できません。このため固定資産は、すぐには返済を迫られない株主資本でまかなえる方が望ましいのです。
固定資産を株主資本で割って算出したのが「固定比率」で、100%以下が理想です。
右図のキヤノンを見て下さい。総資産に対する株主資本の比率、流動負債に対する流動資産の割合が5年前に比べて拡大し、改善しています。
また、固定資産に比べて株主資本の増え方が大きいことも一目でわかりますね。
貸借対照表と損益計算書の様々な項目を対比させてみることも重要です。グラフCは京樽の例です。
会計士は「1997年の1月に会社更生法の適用を申請して経営破綻しましたが、91年くらいまでに予兆が出ていた」と指摘します。
91年まで有利子負債の金額が急速に上昇しているのに、売上高の増加のピッチは緩やかで、営業利益もあまり増えていません。
これは調達したお金を、十分な利益を生む事業に投資せずに、いわば無駄遣いしていた可能性があるかも知れません。
しかも、貸借対照表の中身を見ると、93年に短期と長期の借入金の比率が逆転しています。
「銀行が経営状態を危惧して長期のお金を貸したがらなくなった」と考えられます。貸借対照表の項目が急に変化したときは要注意です。
京樽は債務超過に陥っていることが97年に分かりました。債務超過というのは、欠損金が資本の金額を上回った状態のことです。
資産もその分縮小して負債の額を下回り、資産を全部売っても負債を返せません。東京証券取引所のルールでは、債務超過になってから一年以内に解消しないと上場廃止になります。
債務超過企業は『日経会社情報』などで資本の部がマイナスで示されます。
◆資産を縮小経営身軽に
経営改善に成功し、昨年ジャスダック市場へ再上場を果たしました。前期の流動比率は倒産直前、96年の13.9%から148%と大幅に拡大しています(単独ベース)。
株主資本比率も前期で約46%と良好です。不要な資産を売却して身軽になった結果、総資産は倒産以前の4分の1程度に縮小しましたが、利益は逆に増えています。
このように資産規模は縮小しても、経営効率が高まれば利益を大きくできることがあることも知っておきましょう。
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