キャッシュフロー計算書の見方

損益計算書(PL)、貸借対照表に加えて、「第三の財務諸表」と呼ばれるのが「キャッシュフロー(現金収支=CF)計算書」です。経営実態を読み取るのに便利なのですが、読み方はあまり知られていないようです。経営の実態が鮮明lこみえ、営業CFマイナスに注意しましょう。

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◆ 倒産リスク

 このCFは、企業の倒産リスクを見分けやすくなります。2003年の日本コーリン、4年のムービーテレビジョンなど急に倒産した企業の多くは、PLで利益が出ていても、CF計算書の「営業CF」という項目(詳しくは後で説明します)がマイナスになっていた時期がありました。

 PL上の利益にかかわらず、実際には本業でお金が入ってきていない様子がそこで見えていたのです。

 PLは一定のルールに基づいて会計上の損益を貸出したもので、お金の増減をそのまま表してはいないのです。

 しかし倒産の多くはお金が回らなくなることが原因なので、お金の増減の実態を示すCF計算書をあわせて見ることが大事なのです。

 

 しかも利益は強引な販売や会計基準の変更などで表面的なかさ上げもできますが、「CFは現金の増減という事実を表すので、操作がしづらい」とも言われます。

キャッシュフロー計算書 図A(日経新聞より)でCF計算書の構造を見ましょう。要は入ったお金は加え、払ったお金は差し引いて作るのです。

 その過程でPLの利益と差が出ます。代表的なのが「減価償却費」。設備の老朽化が進んだ分を会計上の費用とみなすものですが、実際はお金の支払いは発生しません。

 償却費の分だけ利益の数字より残っているお金が多いので加算します。

 売り上げに計上しているのにまだ入金されていない売掛金など「売上債権」は、実際はお金が入っていないので増加分をCFから差し引きます。

 在庫など「棚卸し資産」の増加も、その支払いの分だけお金が減っているので差し引きます。こうした増減の結果、本業でお金は増えたのか減ったのか結論を示すのが営業CFです。

 例えば4年3月に倒産したムービーテレビジョン。3年3月期、税引き前利益は約1億4千万円のプラスでしたが、売上債権や棚卸し資産が大幅に増え、これらを引いた営業CFは約67億円のマイナス。

 現実にはお金が回らなくなっていたのです。その後の6カ月決算ではPLもCFも共にマイナスになりましたが、CFは一足先に予兆を示していたといえます。

 CF計算書の最大のポイントは、会計上の利益がどうであれ、営業CFがマイナスの企業は要注意ということ。これを覚えておくだけでも、企業のリスクを判断する上で大きな力になります。特に連続してマイナスなら相当苦しい状況です。

◆ 企業の状況3つに分類

 投資CFは、文字通り、投資に関するお金の出入りです。設備投資をするとお金を使いますから、投資CFはマイナスになりがちです。営業CFと違い、これがマイナスなのはむしろ普通です。

 その下の「財務CF」は、株主や金融機関から新たに資金を調達すればプラスに、返還すればマイナスになります。

営業CF,投資CF,財務CF CFで企業の経営状態をざっくり判断するには、右図(日経新聞より)は「金持ち系」は本業で稼いだお金で投資のマイナスをまかない、さらにあまったお金で借入金の返済や自社株買いができます。

 ちなみに図Aで@とA左足したものを「フリーキャッシュフロー(FC)」といい、金持ち系はこれがプラスなのです。花王もこのタイプで、営業CFが高水準なだけでなく、投資内容も厳選しています。

 

 「勝負系」は本業で稼いだ分だけでは投資のお金をまかなえず、金融機関や株主から資金を調達しています。

 次が「苦労系」。営業CFがマイナスなので、資産売却でお金を作って投資CFをプラスにしたり、外部からお金を調達して財務CFをプラスにしなくてはなりません。

 さらに苦しくなると金融機関がお金を回収し、財務CFまでマイナスになったりします。このようにCFで企業の置かれた状態が見えるわけです。

◆ 資産売却で収支プラスに

3社のキャッシュフロー計算書 セブン&アイ・ホールディングスと、イオン、ダイエーの流通三社のCF計算書のグラフ(日経新聞より)で見てみましょう(投資CFは右目盛りで上下逆順)。

 まず目につくのはセブン&アイ(CFはイトーヨーカ堂時代、3年2月期までは米国基準)の営業CFの水準の高さ。営業CFで投資CFを十分にまかなえ、お金を金融機関や株主に返しています。「金持ち系」です。

 イオンは、この5期のうち3期は、投資が営業CFを上回っています。あえて言えば「勝負系」です。

 ダイエーの1年2月期の営業CFは133億円のマイナス。資産売却で投資CFを大幅なプラスにし、金融機関などに返済しています。その後も投資CFは一環してプラスで、これは、大型投資が十分にできず、逆に資産売却を続けていた状況を示します。

 同社は4年に産業再生機構の支援を受けることを余儀なくされました。その数年前から、投資の少なさや営業CFの水準の低さなどの問題点が、CFには鮮明に表れてい たといえます。

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