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法律に触れる株の取引は、巨額の資金を動かすプロの犯罪だと思いがちだが、個人投資家も決して無縁ではありません。インターネットで株式投資(株を取引)する個人でも陥りかねない違法取引について、モデルケースを使って探ってみましょう。
【インサイダー取引】
1.A社が合併するなどという重要な情報をA社の役員である夫から聞いた妻がA社株を買った。
× 会社関係者である夫から直接聞いた妻は、第一情報受領者となり規制の対象となる。
2.仕事でコピーを依頼された派遣社員が、その書類から重要情報を知り、派遣先の会社の株を買った。
× 会社関係者の雇用形態はとわない。派遣社員やパート、アルバイトであってもダメ
3.A社の重要な情報を、同社の役員の家族から、又聞きした友人がA社の株を買った。
○ 友人は会社関係者である役員から直接重要情報をきいたわけではない。
第一情報受領者には該当せず、規制の対象外
【風説の流布】
1.株仲間の一人にウソの重要事実を耳打ちして株を買わせた。
○ 一人に話しただけでは、風説の流布にはならない。
【相場操縦】
1.株価を吊り上げようと、成立させる意思がない高値の注文をだして、
それを取り消す行為を繰り返し、他の投資家の売買を誘った。
× いわゆる「見せ玉」と呼ばれる行為。証券取引法で禁止されている。
サラリーマンのA氏は、機械メーカーのA社に勤める友人から、A社とB社が近く合併するとの情報を耳打ちされました。ネットの株取引で小遣いを稼いでいたA氏は、合併は株価に好材料と早速A社の株を購入しました。数日後にB社との合併を発表したA社の株価は上昇。高値で売却して数十万円の利益を得たが、これってインサイダー?
証券取引法166条では、役職員、大株主などの「会社関係者」と、会社関係者から直接情報を聞いた「第1情報受領者」について、株価に影響を与える重要事実を知り、その事実が公表される前に株を売り買いすることを禁止しています。重要事実には、合併のほか、公開買い付けや新株発行、業務提携も含まれます。
ここでは、友人が「会社関係者」、A氏は「第一情報受領者」に該当します。会社と無関係な立場であっても社員などから、直接、公表前の重要事実を知らされて株を売買すればインサイダー取引になります。もちろん、A社ではなく、B社の株を買ってもアウトになります。
主婦のA子さんは医療品メーカー、C社の株を購入しました。高齢社会の到来で医薬品のニーズが高まると見込みましたが、株価は思うように上がりません。そこで一計を案じて、ネットの掲示板に「C社が、がんの特効薬を開発した」とかきこんだところ、株価は急騰しました。A子さんは、C社株を売却して値上がり益を得ましたが、これってやっぱり問題?
証取法158条は、「相場の変動を目的とする不正行為の禁止」をうたっています。株をはじめとする有価証券の相場を変動させる目的で風説を流したり、偽計(人を欺くような計略)を用いてはならないと定めています。
「風説」とは、事実と異なるウワサで、不特定多数が認識できる状態で広めることを「流布」といいます。ウソの情報が流れると、正しい情報をもとに取引される市場が歪められてしまいます。ここでは「がんの特効薬」が風説。たとえ軽い気持ちで掲示板に書き込んだとしても、多くの人がアクセスできるのであれば流布にあたり、証取法違反の可能性があります。
会社を定年退職したB氏が「現役時代に買った株が値下がりして困る」とこぼしていたところ、友人が「二人で申し合わせて売り買いを繰り返せばスグに値上がりする」と提案。売り方と買い方に分かれて、高値注文を相次いで成立させ株価を吊り上げた。保有株の含み損を解消したB氏はホクホク顔だが・・・
「相場操縦の禁止」をしているのが証取法159条。他の投資家の売買を誘う目的で、取引が頻繁に行われていると誤解させたり、相場を変動させようとしたりする売り買いや注文のの委託・受託を禁止しています。ここでは、B氏が友人と示し合わせて、繰り返し売買して、他の投資家に普通の株価上昇と誤解させたのが問題になります。
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