外貨建て個人年金は受け取り時に為替に左右される
そもそも個人年金は、保険料を長期で運用し、将来年金を受け取る貯蓄性保険です。
その外貨版である外貨建て個人年金は、通常、一時払い保険料として、例えば10万ドル(1200万円弱)を購入、5年か10年の間、あらかじめ決められた利率で運用してもらいます。外貨建て個人年金の利回りは購入時に確定しますが、将来年金を円で受け取る際は、そのときの為替相場左右されます。利率は、期間10年で、5%台が中心です。円建て個人年金(通常1%)に比べて高いため人気があります。
外貨建て個人年金は為替リスクはありますが、利率が高いから有利というほど、単純ではありません。注意したいのが手数料です。外貨建て個人年金の購入時に元本の6〜8%ほどを取られる例が多く、10万ドル投資した場合、実際に運用にまわせるのは9万ドルです。この結果、実質的な利回りは4%台にとどまります。
外貨建て個人年金と米国債の比較をすると、収益性では、期間5年だと、円換算で約50万円、米国債のほうが有利です。外貨建て個人年金の期間10年のタイプは販売競争が最も激しいため、利率が高めですが、それでも米国債がやや有利で、信用度も米国債に分があります。
外貨建て個人年金を途中解約すると、外貨ベースでも元本割れリスクがあります。死亡時には、元本が最低保障されますが、受けとり額も死亡時期に応じて決まります。解約の場合は、事前に予想できないのです。
外貨建て個人年金は、主に債券で運用しますが、債券に時価は金利動向により変動します。解約時に金利が下がれば債券価格が下がり、払出金は減ります。
解約の可能性まで考えると、為替リスクまで契約者が負います。解約時には若干の費用をとられ、購入時に手数料も引かれます。このため、金利が不変とすると、解約原戻し金の水準が元本までに回復するのに、2年近くかかる計算です。
個人年金商品は、生きている限り、毎年一定額をもらい続ける「終身年金」という、他商品にはない機能があります。死ぬまで年金をもらえるなら安心ですが、解約のリスク、コストをよく理解したうえで判断しなければなりません。
外貨建て個人年金 利回り面での比較
ドル建て年金と米国債(ゼロ・クーポン)を元本10万ドルで比較すると・・・
運用期間 3年
米国債が差額約36万円多い
運用期間 5年
米国債が差額約50万円多い
運用期間 7年
米国債が差額約21万円多い
運用期間 10年
米国債が差額約28万円多い
外貨建て年金のリスク
途中契約すると元本割れの可能性あり
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